『タリーと私の秘密の時間』リアルな育児映画のあらすじと感想

ストーリー

主人公マーロは、二人の子育てをする母親。

お腹には三人目の子供を妊娠しており、聞き分けのいい娘と違い、落ち着きがない息子のおかげで何度も小学校から呼び出され育児に悩んでいた。

完璧主義なマーロは妊娠中の身体で必死に家事をするが、上手くいかずストレスが溜まるばかり。
そんな中、三人目の女の子が生まれ、いよいよマーロは心身ともにクタクタになってしまう。

仕事で成功した兄が、出産祝いに『ナイトシッター(夜間専門ベビーシッター)』を派遣させると言うが、他人に子供を任せることに抵抗のあるマーロはシッターの電話番号のメモだけもらい、その場は断った。
だがやはり乳児の育児で寝る暇も無くなったマーロはふとメモを取り出す…

早速その晩、『タリー』と言うシッターがやってきた。
タリーの第一印象はシッターとしては心配な点が多かったが、疲労が溜まったマーロは任せることに。

朝になりマーロは勤務を終えて帰っていたが、家中キレイになり、育児も完璧。
それからはタリーに任せることで、マーロにも余裕が出来、夫も一安心。子供たちも笑顔なことが増えた。

そんなある日、タリーが突然もうシッターに来れないことを告げる。
何故タリーが来れなくなるのか?タリーの秘密とは?

この映画を観て、育児の悩みは世界共通だと思いました。
海外では『育児は奥さん』ではなく、『両親でやるもの』と言うイメージだったのですが、このような共感出来る映画があると言うことは、日本と育児の状況下は同じなんですね。

夫ドリューは優しいことは言いますが鈍感で、完璧主義でしっかりしているマーロの性格もあり、全てをマーロに任せてしまいます。
言われないとやらない。何をすれば良いか考えないところも世界共通のあるあるなのかもしれません。

マーロ役のシャーリーズ・セロンは役作りのために体重を18キロも増やし、身なりに気が使えなくなった母親の疲労感を伝えてきます。
同時に、子供が可愛くて、願っていた育児のはずなのに、思うように身体が動かない自分に腹が立つ母親を完璧に熱演していて、観ているだけのこちらまで育児に追われている気持ちさえします。

生まれた後の育児の大変さをリアルに観ることの出来る、もはや育児の教育映画です。

ここからは、ネタバレです↓







最終的には『タリー』の正体は『マーロ自身(結婚前の若い頃のマーロ)』で、
現在の『マーロ』の意識を眠らせて、『タリー』の意識を起こして動いていたのです。

そうなるとマーロは寝ずに家事と育児をしていたことになり、
そこまでしないと、全ての家事と育児が終わらなかったのです。

昔は女が一人で家事と育児をすることが当たり前だったと聞きますが、この映画を観て、マーロの状況を「当たり前」だと片付けることはなかなか出来ないと思います。

「家族で育児」をどんなに世の中が提供しても映画同様、一人が頑張っていて、パートナーは鈍感で育休が「ただの休み」になってしまっている家庭もあると思います。

出産前、育児中の方々はこの映画を観て、子供とパートナーの様子を気にかけて、家事と育児って細かく何をする事なのかちゃんと二人で理解しあえるといいなと思いました。

————————————————————————————————-

『タリーと私の秘密の時間』
公開日:2018年8月17日
上映時間:95分
監督:ジェイソン・ライトマン
制作国:アメリカ