異質なラブストーリードラマ『青野くんに触りたいから死にたい』

あらすじ

友達の居ない刈谷優里は、落とした大量の本を拾って一緒に運んでくれたことをきっかけに、誰にでも優しい青野龍平を好きになる。
優里はある日突然、青野くんに告白をするのだが付き合えることに。
彼氏彼女の楽しい日々がスタートして2週間後、青野くんは交通事故で死んでしまう。
優里は青野くんを亡くしたショックで自殺しようとするが、目の前に幽霊となった青野くんが現れる。
この日から、優里と青野くんは人間と幽霊と言う関係のまま、恋愛を続けていく。

作者は椎名うみ、月刊アスタヌーンで連載の漫画原作のドラマ

【出演者】
刈谷優里:髙橋 ひかる
青野龍平:佐藤勝利
藤本雅芳:神尾楓珠
堀江美桜:里々佳

漫画での、優里の不思議天然さや青野くんの適度な距離感の取り方が上手い人気者というキャラクターの雰囲気がとてもあっていると思いました

ここが面白いポイント

1.異質さが増す展開の早さ

地味で友達の居ない天然な優里と、クラスの中心に居て、誰にでも優しい青野くんの
一見、君に届けのような爽やかな学園ラブストーリーと思いきや、付き合えた青野くんがドラマの開始約6分40秒で死にます。

2人の交際が突然はじまり、付き合っている最中の2人の思い出も詳しく語られることなく
青野くんのあとを追って死のうとしたら、目の前に青野くんがあらわれてそのまま交際が続く。
見ている側は、優里が自殺をするほどの気持ちにまで追いついていきません。


むしろ、青野くんが幽霊になってからの異質な恋愛がデフォルトのように、2人の恋愛に引き込まれます。

2.恋愛とホラーのドキドキが交互にくる

2人は触れないなりに工夫して交際を楽しむのですが、青野くんが優里に憑依した日をきっかけに、幽霊の青野くんの闇の部分が見えてきて、突然ホラーな空気になる。

デートや学校生活の恋愛模様とはかけ離れた、青野くんの悪霊部分が不意にやってくるので、見ている方は忙しく、恋愛を応援していいのか分からなくなってきます。

そして、青野くんも怖いのですが、そんな青野くんを受け入れている優里にも人として恐怖を感じます

3.主人公が人として怖い

優里は友達が居ないため優里の世界には青野くんだけ、そのため自殺の判断を瞬時にするほど異常に自分の命に対して投げやり。
特に友達を作ろうとする動きもなく、でも他の人を嫌いな訳でもなく
幽霊の青野くんが居れば、他の生きている人間への興味が薄いように感じます。

幽霊になった青野くんが第一話で優里の自殺を必死に阻止しようとすると、
優里は「君に触れないなら死ぬしかない」と言い返す。

瞬時に自殺を選択する優里に対して狂気を感じます。

4.異質さを引き立てるTempalayの曲

Tempalay(テンパレイ)2019年、2021年に放送していたドラマ「サ道」の主題歌を務めていた3人組バンド。

サ道でもとてもドラマの雰囲気にあった癒しの音楽が聞き心地良く、聴いていたのですが

今回の「青野くんに触りたいから死にたい」でのオープニング『Q』エンディング「憑依さん」は
幽霊の雰囲気を感じるけれど、恐怖や不気味さを感じる訳ではない、異質でクセになるドラマの雰囲気を引き立てる曲でした。

ドラマの挿入歌に『21世紀より愛をこめて』が使われていて、こちらもドラマの雰囲気をグッと異質にしていて最高でした。


『青野くんに触りたいから死にたい』
原作者:椎名うみ
放送局:WOWOWプライム
監督:スミス・椿本慶次郎・戸塚寛人
制作国:日本
話数:全10話